エンジニアリングデザインコース(ESDコース)は,多様な分野の教員が集う,異分野融合型の組織です.教員は,「機械系」「システム制御系」「経営工学系」「建築学系」「土木・環境工学系」「融合理工学系」「情報通信系」といったそれぞれの専門に所属しながら,複合系のESDコースを担当しています.
各教員の研究室のウェブサイトなどへのリンクについては,全学ホームページのESD担当教員一覧を参照してください。
主担当教員
因幡 和晃
教授
エンジニアリングデザインによる新しい機械・構造物の創出
大橋 匠
准教授
人間中心主義を超えて:人と地球を中心に据えたデザイン
カーロン ユバル
助教
デザインの研究と実践のための知的システムを創造する
西條 美紀
教授
コミュニケーションデザインによるイノベーションの創出
齊藤 滋規
教授
マイクロロボティクス研究開発とエンジニアリングデザインによる価値創造
サデグザーデ ナザリ メヘルダード
特任講師
革新的な構造物制震システムの創造でより高くより長くを実現
田岡 祐樹
助教
デザインを通し今ある技術に新たな目的を与え、社会課題に向き合う
田中 正行
教授
人間が見る、機械が見る。 どこが同じでどこが違う?
中谷 桃子
准教授
「人のこころを動かすサービス」の創造を通じた社会課題の解決
西田 佳史
教授
生活セントリックデザイン―
生活機能の変化にレジリエントな生活設計論
土方 亘
准教授
クオリティオブライフ向上を目指した機械システムの創出
藤井 晴行
教授
デザインするという行為を対象とする<デザイン科学>の方法論のデザイン
吉田 和弘
教授
機能性材料を応用した高パワー密度のマイクロロボットの実現
プラセチイオ エコ ヘル
助教
新興市場におけるテクノロジーとプラットフォーム依存の零細起業家をナビゲートする
副担任教員
大竹 尚登
教授
高機能材料の適材・適造・適所による機械材料・材料加工イノベーション
倉林 大輔
教授
バイオミメティクスによる自律分散システムの知的制御
ケイティー シーボーン
准教授
人にモチベーションを高め、刺激を与えるようなデザインに向けて
坂本 啓
教授
数値解析技術の発展と宇宙での実証実験によって革新的な大型宇宙構造物を創造する
佐々木 栄一
教授
構造物の安全性を守るためのイノベーション技術の開発
菅原 雄介
准教授
ロボットシステム・機械システムの設計・制御・インテグレーション
関口 悠
准教授
モノとモノがくっつく現象/剥がれる現象の理解と応用
高橋 邦夫
教授
物理に基づく凝着/接合プロセス/デバイスのデザイン
武田 行生
教授
機械運動システムの基本性能を決定するメカニズムの最適設計理論を構築し、実証する
中丸 麻由子
教授
社会シミュレーションと進化ゲームで社会の原理を解明する
野原 佳代子
教授
科学とアートを「翻訳」でつなぎ 新しいコミュニケーションを創り出す
長谷川 晶一
准教授
バーチャルリアリティ 体験を作り出す技術とデザイン
林﨑 規託
教授
加速器と量子ビーム技術により豊かで持続的な社会を創る
山﨑 敬久
准教授
異種材料接合により優れた機械特性を持たせて航空宇宙技術に貢献
船越 孝太郎
准教授
対話システムとの協調的なインタラクションをデザインする
因幡 和晃
教授
エンジニアリングデザインによる新しい機械・構造物の創出
エンジニアリングデザインによる新しい機械・構造物の創出
産業界の様々な課題に対して、機械工学、特に材料力学や流体力学など力学を核として、高速度カメラや数値シミュレーションによる目に見えないものの可視化や物理モデルの構築を行って、新しい機械や構造物を創出したり、評価方法を提案したりしています。研究対象は、点鼻容器、眼科用手術器具などの小さなものから自動車部品、衝撃吸収部材、ポンプ、パイプラインなどの大きなものまで幅広く取り扱い、様々な用途に適した機能を有する材料と構造を実験、理論および数値シミュレーションにより研究・開発しています。特に、ウォーターハンマなどの衝撃問題や流体構造連成問題、液体の微粒化や気泡の運動挙動に関する気液二相流、キャビテーションエロージョンといったマルチフィジックス現象に着目した研究を数多く行っています。また、東工大デザイン工房と呼ばれる施設の運用・管理を通じて、ユーザのニーズ抽出、3Dプリンタやレーザー加工機等によるプロトタイプ製作、経営者等とのビジネスモデル検討、デライト性評価によるユーザ体験の可視化といったエンジニアリングデザイン手法の開発・実践や、新たなものことの価値の評価や提案を行っています。
- 社会貢献
- ASME PVP FSI Tech Committee, Vice Chair (2017-)
- 日本機械学会 材料力学部門 運営委員会委員(2017-)
- 日本材料学会 関東支部 庶務幹事 (2016-2018)
- 学位
- 博士(工学)/慶應義塾大学
- 経歴
-
カリフォルニア工科大学/東京理科大学/日本学術振興会特別研究員(DC1)
- 代表論文/著書
- Kojima et al., J Press Vessel Tech, 139, 2017.
- Ushifusa et al., J Supercritical Fluids, 94, 2014.
- Inaba & Shepherd, J Press Vessel Tech, 132, 2010.
大橋 匠
准教授
人間中心主義を超えて:人と地球を中心に据えたデザイン
人間中心主義を超えて:人と地球を中心に据えたデザイン
製品開発において、ユーザのニーズを基盤にアイデアを創出する「人間中心デザイン」が活用される場面が増えてきました。これは、“人”のニーズを満たす解決策の創出には適していますが、近年、デザインはより大きな責任を担うようになりました。例えば持続可能な開発目標(SDGs)が示すように、“社会や地球環境全体”に対する長期的な影響を考慮したデザインが求められます。特に気候変動、高齢化社会、フードロス、教育へのアクセス不足などの「厄介な問題(Wicked
Problems)」は、人のニーズを満たすことだけでは解決できません。そこで本研究室では、社会文化的トレンドや最先端の科学技術動向をもとに、社会や地球環境全体のあるべき未来の定義し、それを実現する解決策を超学際的なチームで実装していきます。また、その実装過程を厳密に分析することで、デザインプロセスがどのように機能し、なぜ失敗するのか形式知化することを目指します。現在は、畜産、介護、教育、災害対策などの多岐にわたる領域を現場とし、デザイン実践を行っています。未来のあるべき姿を洞察し、科学技術を活用して現場の実践をアップデートしていきたい人、お待ちしています。
- 社会貢献
-
Scientific Advisory Board, AHFE International Conference on Human
Factors in Accessibility and Assistive Technology
-
Scientific Advisory Board, AHFE International Conference on
Human-Centered Metaverse and Digital Environments
- Scientific Advisory Board, Metavethics Institute
- 学位
- 博士(工学)、技術経営修士(専門職)/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学 助教/スタンフォード大学 客員助教
- 代表論文/著書
-
Ohashi, T., et al. (2021). Real-Time Assessment of Causal Attribution
Shift and Stay Between Two Successive Tests of Movement Aids. Integr.
Psych. Behav.
-
Ohashi, T., et al. (2015). Multi-layered MoS2 film formed
by high-temperature sputtering for enhancement-mode nMOSFETs. Jpn. J.
Appl. Phys.
カーロン ユバル
助教
デザインの研究と実践のための知的システムを創造する
デザインの研究と実践のための知的システムを創造する
テクノロジーの発展に伴い、デザイナーはコンピュテーショナルツールを用いるようになってきました。これらのツールはデザインの中で大きな役割を担ってきているため、人間と機械の距離を縮めること、そして、デザイナーと支援システムの間の流暢なコミュニケーションが求められています。私の研究はデザインにおける人間の思考を研究し、その知見をデザイン支援システムの進化に活かすことです。そこで、様々な文脈でのデザイン活動を観察することで、デザイナーがどのように考え、そして行動しているのか、その解釈の過程に対する新たな理解を探求しています。
- 社会貢献
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- IAUI コンピュテーショナルデザイン講師
- ParaGroup Israel, 共同創立者 &CTO(元)
- 代表論文/著書
-
-
Kahlon. Y et al., Immersive Gaze Sharing for Enhancing Communication in Design
Education, Proceedings of the Design Society, 2023
-
Kahlon Y. et al., The Holographic Studio: Real-time virtual teleportation in
Mixed Reality for Enhancing Design Education, eCCADe2023
-
Kahlon. Y and Fujii H., Facilitating Synchronous Remote Collaboration on
On-site Architectural Design using Mixed Reality, AIJISA, 2023
西條 美紀
教授
コミュニケーションデザインによるイノベーションの創出
コミュニケーションデザインによるイノベーションの創出
社会的課題を解決し、人々の生活の質を向上させるイノベーションの創出には、多様な専門性や属性を持った人々との協働が欠かせません。しかしながら、その協働の実現には、「多様な人々の間の対話は決裂しやすい」という命題を克服する「コミュニケーションデザイン」が求められます。当研究室の方針は、問題が発生している現場に赴き、問題に関与しながら課題を抽出・分析し、その結果を現場に返すサイクルを繰り返す「Action
Research」により研究を進めることです。実際の地域コミュニティの中で、自治体・住民・企業との協働を強く推進し、複雑に絡み合う社会的課題の解決を目指します。これまで、虚弱な高齢者向けの電動アシスト付き四輪自転車の開発や、食事介助ロボットの開発など、社会技術開発を多業種連携・異分野協働で取り組んできました。イノベーションの創出を人々の相互作用の観点から分析したい人、相互に共通点があまりない人々(異なる知識背景を持つ人々)のコミュニケーションの成り立ちや協働の在り方に興味がある人、職場のコミュニケーションの問題を俯瞰的に考えてデザインという観点から整理したい人におすすめです。
- 社会貢献
- 日本学術会議 連携会員
- 学位
- 博士(人文科学)/お茶の水女子大学
- 経歴
- 東京工業大学留学生センター/早稲田大学
- 代表論文/著書
- 西條美紀,「コミュニケーションデザイン」,くろしお出版,2014.
-
Saijo, M., Structure of Centre of Attention in a Multi-Party
Conversation in Japanese. Meta-informative Centering in Utterances:
Between Semantics and Pragmatics, 2013: 183-192.
齊藤 滋規
教授
マイクロロボティクス研究開発とエンジニアリングデザインによる価値創造
マイクロロボティクス研究開発とエンジニアリングデザインによる価値創造
主な研究スコープとして,「マイクロスケールの物理現象を利用した物体把持・離脱機能の開発」および「エンジニアリングデザインによる価値創造」の2つの大きな柱があります.前者は,マイクロスケールにおいて顕著に影響が現れる静電力,分子間力,液架橋力などの力を効果的に発揮するデザインを追求することによって次世代の物体把持・離脱機能を実現することを目指しています.具体的には,「ヤモリ型静電チャックの開発」,「親水性・疎水性を利用した液架橋力による物体把持・離脱手法の開発」などが研究テーマの例となります.また,後者は,東京工業大学において実践されている産学協同形式のProject-Based-Learning
(PBL)型授業「エンジニアリングデザインプロジェクト」を主な題材とし,価値創造のための製品・サービス開発プロセスに関する研究を工学的,認知科学的手法を用いて進めています.具体的には,「デザインプロジェクトにおけるメンバーの専門多様性がアイデア創造のプロセスに与える影響」,「洞察問題解決において孵化などの条件が与える影響」などが研究テーマの例となります.
- 社会貢献
- 日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門運営委員
- イノベーション教育学会第4回年次大会実行委員長
- 日経優秀製品賞内部審査委員
- 学位
- 博士(工学)
- 経歴
- 東京大学/東京工業大学
- 代表論文/著書
-
“微細毛構造による表面柔軟性を持つ静電チャック”, 静電気学会誌, Vol.41,
No.3, pp.134-138, 2017.
-
“Rolling behavior of a micro-cylinder in adhesional contact”,
Scientific Reports, Vol.6, pp.34063(1-12), 2016.
-
Saito et al, “Compliant electrostatic chuck based on hairy
microstructure”, Smart Materials and Structures, Vol.22,
pp.015019(1-6), 2013.
- 『エンジニアのためのデザイン思考入門』, 翔泳社, 2017年.
-
“異分野協創エンジニアリングデザインプロジェクトにおける教育効果と実施課題”,
工学教育, Vol.65, No.4, pp. 57-62, 2017.
サデグザーデ ナザリ メヘルダード
講師
革新的な構造物制震システムの創造でより高くより長くを実現
革新的な構造物制震システムの創造でより高くより長くを実現
私の研究対象は、同調マスダンパーと免振に着目した革新的な耐震構造/非構造部材振動制御システムの開発です。現在、東京大学を通じて特許を出願した、ローラーを用いた新型コンパクト同調マスダンパーの改良に取り組んでおり、地震や風による振動を緩和し、高層ビルや長大橋から家具および非構造まで、様々な構造物に適用できます。
地震工学と構造力学の問題に対処するために、様々な科学と工学の分野を活用しています。
- 社会貢献
- 学位
- 博士号(土木)/東京大学
- 経歴
- 東京大学(博士研究員 )
- 株式会社翔設計、東京(耐震設計)
- 代表論文/著書
-
“Analyzing the Seismic Behavior of Secondary Systems, and proposing
the Floor Design Spectra considering Structural Inelastic Behavior and
Primary-Secondary Interaction”, co-authored, 206-P Report,
International Institute of Earthquake Engineering and Seismology, 2020
(to be), Iran
田岡 祐樹
助教
デザインを通し今ある技術に新たな目的を与え、社会課題に向き合う
デザインを通し今ある技術に新たな目的を与え、社会課題に向き合う
社会と技術を結び付ける過程で用いられる「共創デザイン」を研究しています。共創デザインは、ユーザー等、様々な人を巻き込んでニーズを理解し、新しいアイデアを創出して実装する手法です。ものを使いやすく魅力的にするためには、多様な人々の意見が出されることが重要です。現在は付箋とペン以外を用いてアイデアを考える手法を提案し検証しています。また、共創デザインは、技術を途上国開発に応用する際にも活用されます。発展途上国の文脈を考慮しながら、現地の人々に受け入れられ、現地で持続可能な技術の開発に資するデザイン手法を実践的に研究しています。
- 社会貢献
- 学位
- 博士(学術)/東京工業大学
- 経歴
- UNICEF ECARO インターン
- WHILL株式会社 インターン
- 代表論文/著書
-
Taoka, Y., Kagohashi, K., & Mougenot, C. (2018). A cross-cultural
study of co-design: the impact of power distance on group dynamics in
Japan. CoDesign
田中 正行
教授
人間が見る、機械が見る。 どこが同じでどこが違う?
人間が見る、機械が見る。 どこが同じでどこが違う?
スマートフォンのカメラ機能は現代の生活に必要不可欠となり、写真や動画はSNSによる新しい文化を創り出しました。近年のデジタルカメラの画素数は、人間の視覚をセンサとして考えた場合の画素数を既に超えているとも言われています。しかしながら、人間の「解像感」はデジタルカメラと比較しても、まだまだ高いと考えられています。これは、脳における視覚情報処理の影響が大きいです。それでは、機械も脳の視覚情報処理の真似をすればより良い解像感が得られるのでしょうか。その答えは明確にはわかっていません。おそらく、人間の真似をしたほうが良い場合、機械専用のアルゴリズムを開発した方が良い場合、様々に考えられることでしょう。機械学習の発展により、一部の処理においては、機械が人間の能力を超えているとも言われています。一方で、人間であれば、まさにひと目でわかることも、現在の機械では不可能なこともたくさんあります。機械の視覚は、人間の視覚を超えられるのでしょうか。それとも、超えられない何かがあるのでしょうか。機械の視覚の限界をひろげ、新しい価値の創造に挑戦しています。
- 社会貢献
- matlab contributor
- COCNプロジェクトメンバー
- CIE Division 8, member
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
-
アジレント・テクノロジー株式会社 / 産業技術総合研究所 / 東京工業大学
- 代表論文/著書
-
Single-image noise level estimation for blind denoising, IEEE TIP
2013.
- A novel inference of a restricted Boltzmann machine, ICPR 2014.
-
Beyond color difference: Residual interpolation for color image
demosaicking, IEEE TIP 2016.
中谷 桃子
准教授
「人のこころを動かすサービス」の創造を通じた社会課題の解決
「人のこころを動かすサービス」の創造を通じた社会課題の解決
技術の社会実装を進め、人のこころを動かすサービスを創造し、複雑な社会課題を解決していくためには、生活者を含む多様なステークホルダが手を携え、本質的なニーズを探索し、試行錯誤を重ねながら解決策を導出していくことが不可欠です。本研究室では、デザイン思考や人間中心設計の考え方をベースとし、多様な人の視点・専門性を活かしたコラボレーションを効果的に行う方法論や、そのための技術・仕組みについての研究を推進します。特に、実生活に近い場(リビング)で生活者とともにサービスを創造する「リビングラボ」に着目し、産官学民さまざまな関係者との共創を実践していきます。共創の過程で生じる人々のこころの動きや行動の変化を観察し、その過程をモデル化・体系化するとともに、共創を効果的に行うための方法論やツールの開発につなげていきます。社会課題としては、高齢者や乳幼児を育てる親の孤立という課題に特に着目しています。課題を抱える当事者やその関係者との対話を重視し、本質的に解決すべき課題とは何なのか、その問いと丁寧に向きあいながら解決策を導出していき、そのプロセスを研究することで、人々の主観的幸福感(Well-being)、持続的な社会の実現に貢献することを目指しています。
- 社会貢献
-
ヒューマンインタフェース学会 コミュニケーション支援専門研究会委員会/ユーザエクスペリエンス及びサービスデザイン専門研究委員会
専門委員
- 学位
- 博士(工学)/早稲田大学
- 経歴
- NTTサービスエボリューション研究所 特別研究員
- 代表論文/著書
-
中谷,中根,赤坂,石井,渡辺:
リビングラボにおける対話の場がもたらす価値-「ともに育むサービスラボ」を事例として,ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vol.
21, No. 4, pp. 391-404, (2019).
-
M. Nakatani, T. Ohno, A. Nakane, A. Komatsubara, S. Hashimoto, “How to
Motivate People to Use Internet at Home: Understanding the Psychology
of Non-active users”, Proceedings of APCHI’12, pp.259-268 (2012).
西田 佳史
教授
生活セントリックデザイン― 生活機能の変化にレジリエントな生活設計論
生活セントリックデザイン― 生活機能の変化にレジリエントな生活設計論
世界は,人生100年時代を迎えようとしています.そこでは,私たちの研究室が「生活機能レジリエント社会」と呼ぶような社会の構築が必要になると考えています.生活機能レジリエント社会とは、子ども,女性,高齢者,障害者といった多様な身体的・認知的機能変化がある生活者の生活者に柔軟に適応することで,これらの変化に関わらず生活者の能力が最大限惹きだされ,
安全性や高度な社会参加を確保してくれる社会のことです。一方,技術側に目を向けると,近年,安価なセンサ,ストレージ,クラウド計算環境などが利用可能になっており,最近では,生活関連データを活用する人工知能も急速に発展してきています。私たちの研究室では、生活機能変化に柔軟に適合する新たな生活設計分野「生活セントリックデザイン」の創造を目標に、1)生活データに基づいて生活幾何学の研究,2)実生活の中で生活の計測や支援を行う技術の研究,3)現場やコミュニティ参加型アプローチを用いて生活イノベーションを進めるための生活知識循環システムの研究を推進することで、生活機能レジリエント社会のためのイノベーションやSDGsの実現に貢献したいと考えています。
- 社会貢献
- 日本市民安全学会, 日本子ども安全学会 理事
- NPO法人セーフキッズジャパン理事
- セコム科学技術振興財団 特定領域(社会技術分野)PM
- 学位
- 博士(工学)/東京大学
- 経歴
- 産業技術総合研究所
- 代表論文/著書
-
インタラクティブ遊具を用いた遊び行動と発達の分析, 情報処理学会論文誌,
2012
-
Development of Childhood Fall Motion Database and Browser Based on
Behavior Measurements, Accident Analysis & Prevention, 2013
土方 亘
准教授
クオリティオブライフ向上を目指した機械システムの創出
クオリティオブライフ向上を目指した機械システムの創出
我が国は既に超高齢社会に突入しており、世界的にも高齢化は加速傾向にあります。産業革命以降の医療技術の進歩により、平均寿命は著しく向上しましたが、真に豊かな社会を実現するためには、健康寿命の向上が欠かせません。そこで機械工学の立場から、クオリティオブライフを考慮した医療デバイスや機械システムの研究を行っています。現在取り組んでいる「生体内エネルギーハーベスティング」では、定期的な電池交換が必要なペースメーカなどの医療デバイスや、今後実用化が期待される体内ヘルスモニタリングセンサの電源として、我々人間が生命活動で消費しているエネルギーの一部を、体内で電気エネルギーに変換する技術を研究しています。「ワイヤレス給電」の研究では、消費電力の大きい人工心臓を植込んだ患者さんや、災害・介護現場における電動パワーアシストスーツを装着した作業者の動きをトラッキングし、常に離れたところから高効率にワイヤレスで電気を送電する技術を開発しています。また、「人工心臓」の研究では、人工心臓内の血栓を自己検知する技術や、患者さんの運動状態に合わせて、病気の心臓と協調して拍動制御を行う人工心臓を開発しています。
- 社会貢献
- 日本AEM学会 理事
- 日本機械学会若手の会 若手支援WG 主査
- 公益財団法人新世代研究所 委員
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
-
東京工業大学/スイス連邦工科大学ローザンヌ校/株式会社豊田中央研究所
- 代表論文/著書
-
Energy harvesting from biting force with thin sheet harvester based on
electret and dielectric elastomer, Nano Energy, 2022.
-
Contraction model of skeletal muscle capable of tetanus and incomplete
tetanus for design and control of biohybrid actuators, Journal of
Biomechanical Science and Engineering, 2022.
-
Prevention of thrombus formation in blood pump by mechanical circular
orbital excitation of impeller in magnetically levitated centrifugal
pump, Artificial Organs, 2022.
藤井 晴行
教授
デザインするという行為を対象とする<デザイン科学>の方法論のデザイン
デザインするという行為を対象とする<デザイン科学>の方法論のデザイン
デザインするという行為を対象とする科学の方法は自然科学の方法と全く同じではない。自然科学が前提とする客観性、論理性、普遍性は、デザインにおける主観的な判断、非論理的な思考、個別性を捨象する傾向にある(中村雄二郎)。また、デザインにおいてはデザイン対象やデザイン対象と関わりがあるものごとを指示する記号の操作および記号表現が支持する実体的なものごととのインタラクションが重要な役割を担う。これらのような問題意識に基づき、自然科学では扱えきれないものごとも扱う<デザイン科学>の方法論を構築すべく、世界の伝統的民家やデザイン・コンピューティングに注目するデザインの研究的実践と実践的研究を通し、(1)客観と主観とが共存する一人称研究の方法、(2)論理的思考(演繹)と非論理的思考(帰納、アブダクション)や環境とのインタラクションを繰り返す構成的方法、(3)デザインにおける記号表現や記号操作(コンピュテーション)と指示対象との動的な関係、(4)人工物を媒介する人と環境との空間的な関わり方(空間体験)を表現する図式(空間図式)などを、学際的に探究・デザインしている。また、これらに関連し、空間体験を音楽表現する先端芸術表現を作曲家と共に行なっている。
- 社会貢献
- 日本建築学会 評議委員 (2016-2018)
- 日本建築学会 技術報告集委員会委員長(2008)
- 沖縄県伊是名村伊是名地区後辺の民家の調査(2014 – )
- 学位
- 博士(工学)/早稲田大学
- 経歴
- 早稲田大学/カーネギーメロン大学/清水建設(株)/シドニー大学
- 代表論文/著書
-
知のデザイン – 自分ごととして考えよう, 諏訪正樹•藤井晴行, 近代科学社,
2015.
-
創造という行為の研究について, 藤井晴行, 人工知能学会誌, 28(5),
720-725, 2013.
-
デザインという行為のデザイン, 藤井晴行•中島秀之, 認知科学, 17(3),
403-416, 2010.
吉田 和弘
教授
機能性材料を応用した高パワー密度のマイクロロボットの実現
機能性材料を応用した高パワー密度のマイクロロボットの実現
産業用プラントの配管内で作業を行うマイクロロボットなど、小さいサイズで自重を支えながら広い領域を移動し、パワーを要する作業を行うマイクロロボットの実現を目指した研究開発を行っています。そのアプローチとして、固有の機能性を有する機能性材料を応用することを特徴としています。具体的には、電界を加えると粘度が大幅に上昇するERF(電気粘性流体)を用い、シンプルでマイクロ化可能なERマイクロバルブを開発しています。MEMS(微小電気機械システム)技術を用いて長さ3
mmで柔軟なフレキシブルバルブを実現しています。また、多自由度アクチュエータシステムにおける配管スペースの問題を解決するため、往復する流れを発生する交流圧力源を用い、その動きと合わせてERマイクロバルブを開閉することで整流し運動を取り出す交流圧力源システムを提案し,長さ1.6
mmのマイクロフィンガを実現しています。さらに、液圧パワー源として、圧電素子を用いた往復ポンプの出力側のチェック弁の代わりに細い配管を設置し、流体の慣性効果を用いたマイクロポンプを提案し、世界最高水準の出力パワー密度を実現しています。
- 社会貢献
- 日本機械学会機素潤滑設計部門幹事(2007,2013)
-
日本フルードパワーシステム学会理事(2006~2010,2012~2014,2018~)
- 日本フルードパワーシステム学会出版委員会委員長(2022~)
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学
- 代表論文/著書
-
A study on an AC electroosmotic micropump using a square pole-slit
electrode array, Sensors and Actuators A, 265,2017 / A novel bending
microactuator with integrated flexible electrorheological microvalves
using an alternating pressure source for multi-actuator systems,
Microsystem Technologies, 26, 2020 / A multi-DOF soft microactuator
integrated with flexible electro-rheological microvalves using an
alternating pressure source, Smart Materials and Structures, 30, 2021
プラセチイオ エコ ヘル
助教
新興市場におけるテクノロジーとプラットフォーム依存の零細起業家をナビゲートする
新興市場におけるテクノロジーとプラットフォーム依存の零細起業家をナビゲートする
テクノロジーは零細起業家をどのように支援しますか?プラットフォームに依存する起業家は、テクノロジーとイノベーションの広範な発展を暗示するものとして登場しました。この調査では、グレーゾーン内の零細企業やその他の起業家活動の技術導入プロセスを調査しています。本研究は、プラットフォーム依存型起業家がオンラインプラットフォームビジネスモデルで事業を運営する状況を明らかにし、プラットフォーム主導型企業が提供するテクノロジー導入の複雑さに関して起業家が直面する課題を探ることを目的としています。
- 社会貢献
- 学位
- 博士経済学/京都大学
- 経歴
- 東京工業大学
- 代表論文/著書
-
Legitimacy building of digital platforms in the informal economy:
evidence from Indonesian, Journal of Entrepreneurship in Emerging
Economies, 2022, / Digital platforms’ strategies in Indonesia:
Navigating between technology and informal economy, Technology in
Society, 2024
新機能性材料の創生によるイノベーション
炭素材料を中心に新たな機能性材料の創出を目的とした材料開発を行なっています。材料分野を研究の中心としていますが、私自身が電気・化学・機械と3分野の学問領域を修了してきたことから、これらを横断した学際的な分野の研究を行なっています。特にダイヤモンド状炭素膜、カーボンナノチューブ等のナノ材料を含む複合材料について、現在研究を行なっています。材料創生だけで無く、それら材料がどのような機能を持つのか、構造を持つのかを分析する事で、ドーピングなどによる更なる材料の高機能化の可能性を探り、材料設計の指針を得ています。
- 社会貢献
- 日本機械学会 材料加工部門運営委員 (2018)
- ニューダイヤモンドフォーラム 編集委員 (2018)
- 精密工学会 代議員 (2018)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 長岡技術科学大学/シチズン時計株式会社
- 代表論文/著書
-
N. Ata, N. Ohtake, H. Akasaka, Polyethylene–Carbon Nanotube Composite
Film Deposited by Cold Spray Technique, J. Therm. Spray Technol. 26
(2017) 1541.
-
Yutaro Suzuki, Yasuyoshi Kurokawa, Tsuneo Suzuki, Kazuhiro Kanda,
Masahito Niibe, Masayuki Nakano, Naoto Ohtake, Hiroki Akasaka.
Structure and physical properties of stable isotopic amorphous carbon
films, Dia. Relat. Mater., 63(2015) 115.
-
Akira Sakaguchi, Masayuki Nakano, Junko Hieda, Naoto Ohtake, Hiroki
Akasaka. Dependence of ion concentration in simulated body fluid on
apatite precipitation on titania surface, Appl. Surf. Sci., 347 (2015)
610.
宇宙の多様な環境を利用したパッシブな探査システム
私たちの研究室では,空気力学を基本に,主に惑星探査システムや宇宙輸送システムなどについて遠い未来を想像しながら研究を行っています。特に,一見過酷に見える宇宙の多様な環境をうまく利用したパッシブなシステムに興味を持っています。例えば,宇宙とはすぐには結びつかないような,ヨット,バルーン,カイトなどです。研究方法としては,地上実験や数値シミュレーションに加え,JAXAや他大学と協力して実際に人工衛星を手作りし,軌道上での飛行実験も行っています。日常とは大きく異なる宇宙の多様な環境をいかし,大学ならではのワクワクするような魅力的なミッションやシステムを,創造力豊かな若い学生さんたちと開発することを目指しています。
- 社会貢献
- なし
- 学位
- 博士(科学)/東京大学
- 経歴
- JAXA宇宙科学研究所/東京大学生産技術研究所
- 代表論文/著書
-
Suborbital Reentry Demonstration of Inflatable Flare-type
Thin-membrane Aeroshell using a Sounding Rocket, Kazuhiko Yamada,
Yasunori Nagata, Takashi Abe, Kojiro Suzuki, Osamu Imamura, Daisuke
Akita, Journal of Spacecraft and Rockets, 2015.
⼈に優しいロボット環境・⾳響環境を創る
人に優しい、ロボット・機械システム環境ならびに不快な騒音のない音響環境を創りだす研究を進めています。主な研究テーマは、「複雑で柔軟な運動が可能な超冗長ロボットの機構と運動制御」、「大変形する薄板などの弾性リンクや弾性関節から構成される柔軟ロボット機構の設計と運動制御」、「劣駆動機構に弾性あるいいは重力による拘束を付加して制御を可能にする運動制御手法」、「振動構造物の振動モード解析に基づく騒音放射の精密推定と静音化のための構造最適化設計」、「人の心理の定量評価に基づく騒音の快音化能動制御」、「機能材料の微小振動を活用した革新的アクチュエータとそれを搭載した機械システムの開発」など、いずれも人間の日常生活環境の改善に資するデザイン課題を取り扱っています。
- 社会貢献
- ⽇本設計⼯学会理事(2012-)
- ⽇本IFToMM会議実⾏委員会副委員⻑(2011-)
- 精密⼯学会理事(2007-2008)
- 学位
- ⼯学博⼠/東京⼯業⼤学
- 経歴
-
東京⼯業⼤学⼯学院教授/東京⼯業⼤学⼯学部/東京⼯業⼤学精密工学研究所
- 代表論文/著書
-
Nobuyuki Iwatsuki and Takashi Kosaki: Large Deformation Analysis and
Synthesis of Elastic Closed-loop Mechanism Made of a Certain Spring
Wire Described by Free Curves, Chinese Journal of Mechanical
Engineering, Vol.28, No.4, (2015), pp.756-762.,
社会に貢献するロボットシステムの創造
私の専門分野はロボット工学,その中でも新しい機構メカニズムと,それを用いたロボットシステムを創出することに興味があります.研究室の中だけに留まらず,実社会の問題を解決するための新しいロボットシステムを提案し,それを具現化しています.例えば,福島第一原発の廃止措置作業は30~40年の歳月がかかると言われており,高線量下での作業にはロボット技術が必要不可欠です.狭隘な環境にアクセスするための超長尺アームロボットや,センサを搬送するための作業移動マニピュレータなどの開発を共同研究で進めています.また福祉ロボットの開発では在宅酸素療法患者の外出を支援するため,酸素機器搬送ロボットを提案し,医療者・患者のニーズを実際に聞きながら開発を行っています.
- 社会貢献
- 計測自動制御学会システムインテグレーション部門幹事(2009)
- 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門幹事(2014)
- 日本ロボット学会代議員(2016)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- ソニー株式会社/東京医科歯科大学/東京工業大学
- 代表論文/著書
-
「ローラーウォーカーに関する研究」,遠藤玄,広瀬茂男,日本ロボット学会誌,2000
-
「在宅酸素療法患者の外出を支援する追従型搬送移動体の開発」,遠藤他,日本ロボット学会誌,2012
大竹 尚登
教授
高機能材料の適材・適造・適所による機械材料・材料加工イノベーション
高機能材料の適材・適造・適所による機械材料・材料加工イノベーション
主な研究テーマは、機械的に高機能な材料の創成と、それらの材料を実用化するための創形プロセス開発です。特にダイヤモンド状炭素膜をはじめとする硬質薄膜を対象として独自の材料創製法、表面デザイン手法を提案し、膜特性の評価、応用をシームレスに結びつけて、機械部材、しゅう動部材だけでなく医療部材、燃料電池等としての実用化を目指しています。また、CFRPや金属材料を対象として、塑性・成形加工技術の開発にも注力し、高張力鋼板・CFRP板とアルミニウム合金板との接合研究を行っています。どんな優れた特性を有する物質でも、形に出来ない限り産業・社会で使うことは出来ません。今後も適材・適造・適所をモットーとして、機械材料・材料加工にイノベーションを起こします。
- 社会貢献
- 一般社団法人日本機械学会庶務理事(平成29年度~現在)
- ISO TC107 PL for “Classification of Carbon Films”(2016-現在)
- ニューダイヤモンドフォーラム理事,副会長(平成26年度~現在)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 名古屋大学/東京工業大学
- 代表論文/著書
- 「DLCの基礎と応用展開」シーエムシー出版(2016)
- 「はじめての生産加工学2」講談社 (2016)
-
「これで使える機能性材料パーフェクトガイド」講談社サイエンティフィク(2012)
倉林 大輔
教授
バイオミメティクスによる自律分散システムの知的制御
バイオミメティクスによる自律分散システムの知的制御
生物はいかにして環境に適応した行動を適切かつ素早く選び出すことができるのでしょうか?要素還元的ではなく、環境・身体・脳の相互作用に「賢さ」の源泉を求める、次世代の知能システム実現に向けた研究を行っています。神経細胞は一般に数100Hzまでしか応答できず,昆虫であれば10万程度しか有していません.しかし,
10億トランジスタのCPUを3GHzで駆動するロボットよりもずっと巧みに、素早く、低エネルギーで活動し,生き延びていくことができます.そのような機能性を支えているシステム構造について、神経生理学・行動生物学・制御工学・確率数理などの融合により解き明かします。得られた知見はロボットなどの人工物へ応用し、レジリエンスをもった自律分散型システムの実現に貢献します。
- 社会貢献
- Advanced Robotics 編集長 (2022-)
- (公社)計測自動制御学会常務理事(2014-2015)
- (一社)日本ロボット学会理事(2005-2006, 2014-2015)
- 学位
- 博士(工学)/東京大学
- 経歴
-
理化学研究所基礎科学特別研究員、東京工業大学大学院講師、助教授(准教授)、教授
- 代表論文/著書
-
“Learning a Generic Olfactory Search Strategy from Silk Moths by Deep
Inverse Reinforcement Learning” IEEE Trans. Med. Robotics and Bionics
4(1):241-253, 2022. DOI:10.1109/TMRB.2021.3129113
-
“Multisensory-Motor Integration in OlfactoryNavigation of Silkmoth,
Bombyx mori, using Virtual Reality System” eLife 10:e72001, 2021.
DOI:10.7554/eLife.72001
-
“A novel framework based on a data-driven approach for modelling the
behaviour of organisms in chemical plume tracing” J. Royal Soc.
Interface 18(181):20210171, 2021. DOI:10.1098/rsif.2021.0171
ケイティー シーボーン
准教授
人にモチベーションを高め、刺激を与えるようなデザインに向けて
人にモチベーションを高め、刺激を与えるようなデザインに向けて
インタラクティブ・テクノロジーは、影響を与え、動機付け、挑発するように設計することができます。私は、個人や社会のために態度や行動を変える方法を用いたインタラクティブなエージェント、インターフェース、体験の設計と研究を行っています。東工大のアスピレーショナル・コンピューティング研究室(ACTT)では、国際的な学生や研究者のグループと協力して、人間工学、インタラクションデザイン、ヒューマンコンピュータインタラクションの分野で革新的な研究を推進しています。専門分野は、ゲーミフィケーションとシリアスゲーム、ミックスドリアリティとフィジカルコンピューティング、音声アシスタントとソーシャルロボット、高齢者とのインクルーシブデザインなどです。批判的思考と問題解決能力、工学とデザイン能力、そして人間の参加者を対象とした混合方法研究を組み合わせています。
- 社会貢献
- 計算機協会 (ACM)
- 学位
- 博士(機械産業工学)/トロント大学
- 経歴
- 理化学研究所/東京大学/ ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
- 代表論文/著書
-
Seaborn & Fels (2015). Gamification in theory and action: A
survey. IJHCS, 74, 14-31.
坂本 啓
教授
数値解析技術の発展と宇宙での実証実験によって革新的な大型宇宙構造物を創造する
数値解析技術の発展と宇宙での実証実験によって革新的な大型宇宙構造物を創造する
これまでになく大型な構造物を宇宙で構築するためには、構造物を軌道上で展開(deployment)、組み立て(assembly)、製造(in-situ
fabrication)する技術の発展が求められます。当研究室では「折り紙の技術を利用した新たな展開構造物の提案」「数値解析技術を積極的に取り入れ、先進的な宇宙構造物を地上検証する方法論の構築」「自分たちの手で宇宙実験機を作り上げ、軌道上で実証実験を行う」ことを通し、革新的な宇宙構造物の実現へ貢献することを目指しています。具体的には、イプシロンロケットでの打ち上げ機会を活用し、約4kg(3Uキューブサット規格)の超小型人工衛星「OrigamiSat-1」「OrigamiSat-2」の開発を主導しています。これらの衛星はアレーアンテナと薄膜太陽電池をほぼ全面に貼付した多機能展開膜をコンパクトに収納し、シンプルな機構で展開・形状維持できる技術を宇宙実証します。また宇宙機関のソーラー電力セイル計画でも活用可能な数値解析技術の開発や、電波天文学アンテナ構築技術の実証などを通し、まだ見ぬ未来の宇宙構造物の実現方法を模索しています。
- 社会貢献
- NPO法人 大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC) 理事
- 日本機械学会 宇宙工学部門 委員、日本航空宇宙学会 正会員
-
アメリカ航空宇宙学会(AIAA) Associate Fellow, Spacecraft Structures
Technical Committee 委員
- 学位
-
Ph.D. (Aerospace Engineering Sciences) / 米国コロラド大学ボルダー校
- 経歴
- 米国コロラド大学ボルダー校/マサチューセッツ工科大学/日本大学
- 代表論文/著書
-
Testing Large Ultra-Lightweight Spacecraft (Chap. 4), AIAA, 2017 /
“Folding Patterns of Planar Gossamer Space Structures Consisting of
Membranes and Booms”, Acta Astronautica, 94(1), 2014. /
「エンジニアのためのデザイン思考入門」, 翔泳社, 2017.
佐々木 栄一
教授
構造物の安全性を守るためのイノベーション技術の開発
構造物の安全性を守るためのイノベーション技術の開発
主な研究テーマは「構造物の安全性確保のための先端技術の開発」,「土木鋼構造物における破壊制御」,「構造物の挙動を監視する構造モニタリング技術の開発」などです.橋梁等のインフラ構造物を安全に設計,供用するための技術に関連した研究を行っています.研究の範囲には,鋼構造物の疲労,腐食などの損傷の構造への影響評価,新しい点検手法の開発,構造物をシステムとして考えその変化を捉えようとする構造モニタリングの開発などに加えて,継続的計測を可能とするための電源問題に対応した橋梁振動に基づく環境発電などが含まれます.日々,最先端技術で効率的に構造物の安全を確保するための新しい技術の創出を目指した研究を進めています.
- 社会貢献
- 土木学会鋼構造委員会幹事(2017-)
- 日本鋼構造協会国際委員会国際基準整合化WG主査(2016-)
- 溶接学会溶接疲労強度研究委員会幹事(2013-)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学助手、横浜国立大学准教授を経て現職
- 代表論文/著書
-
阿久津絢子,佐々木栄一,蛯沢佑紀,田村洋,低周波渦電流による鋼部材の腐食損傷状態分析,土木学会論文集A1,2017.
竹谷晃一,佐々木栄一,岩吹啓史ほか,橋梁振動を対象とした同調質点系発電デバイスの開発と実橋梁への適用,土木学会論文集A1,2016.
接着技術の開発とその応用展開
接着剤を使った接合というと、“糊付け”の弱いイメージがありますが、最近の進歩によりきわめて強い接着剤が使用でき、溶接や機械的締結の代わりに接着剤の使用が伸びています。Industry
4.0の世界では、簡易な接合法としてその存在感をさらに増すことでしょう。このような背景から、我々の研究室では、従来の接合手法を接着で置き換える研究を実施しています。特に近年では、自動車車体の軽量化に向けて、複合材料やアルミ合金などの異種材料を用いるマルチマテリアル構造が注目されており、この主要な接合手段として接着への期待が高まっています。そこで我々の研究室では、実用に直結した実践的な研究を行っています。なぜなら、基礎研究のニーズは応用開発の中で簡単に解決できない課題からしかやって来ないからです。
- 社会貢献
- 日本接着学会 理事
- 日本接着学会 構造接着研究会会長
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
-
東京工業大学
精密工学研究所/未来産業技術研究所/フロンティア材料研究所
- 代表論文/著書
- 「自動車軽量化のための接着接合入門」日刊工業新聞社,2015
-
「Design of Adhesive Joints Under Humid Conditions」Springer, 2013
制御しづらいものも制御する:非線形制御理論
近年話題となっている自動車の自動運転を実現するための大切な技術の一つに制御があります。例えば自動車が車線内を通行するためには車線を認識し(センシング)、自動車が車線からはみ出さないようにハンドルを回す(制御)必要があります。基本的には車線の右に寄ったら左に、左に寄ったら右にハンドルを切ればよい(フィードバック制御)のですが、これだけでは車線内で車が蛇行したり、最悪,車線を飛び出したりしてしまいます。良好な車線内走行を行うためには「制御理論」が必要になります。当研究室ではこの制御の中でも従来の制御理論の範疇では制御しづらいものを制御する理論(非線形制御理論)の構築と応用について研究しています。その応用はロボット、ドローン、社会システムと多岐にわたります。
- 社会貢献
- 計測自動制御学会フェロー
-
54th IEEE Conference on Decision and Control (CDC), PC Chair (2015)
- IEEE Conference on Control Applications (CCA), PC Chair (2010)
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
- 千葉大学工学部/東京工業大学情報理工学研究科/
- 代表論文/著書
-
Suppression of vertical bending and rigid-body-mode vibration in
railway vehicle car body by primary and secondary suspension control,
Journal of Rail and Rapid Transit, 2010, George Stephenson
Prize(英国機械学会)
菅原 雄介
准教授
ロボットシステム・機械システムの設計・制御・インテグレーション
ロボットシステム・機械システムの設計・制御・インテグレーション
ロボット工学は裾野の広い分野ですが、中でも広い意味でのロボットシステムの設計問題、ロボットのシステムデザインとインテグレーションの方法論に興味を持っています。「この世を住みよくするには、如何なるロボットシステムを如何に設計すべきか?」という問題意識のもと、機構の解析と総合、機械設計、制御系設計などの個別の問題はもちろんのこと、そもそもどういったロボットを設計すべきか、社会にどう(実装ではなく)統合するのか、を考えながらロボットを作っています。具体的な研究テーマは、人間搭乗型2足歩行ロボット、階段昇降車いす、作業支援パートナロボット、空力浮上式鉄道「エアロトレイン」、人力ロボティクス、構造可変型パラレルメカニズム、パーソナルモビリティなど。
- 社会貢献
- 日本ロボット学会 代議員(2015-)
- 日本IFToMM会議 実行委員(2016-)
-
LIFE2016(生活生命支援医療福祉工学系学会連合大会)
プログラム委員長(2016)
- 学位
- 博士(工学)/早稲田大学
- 経歴
- 早稲田大学助手、東北大学助教、国士館大学講師を経て現職
- 代表論文/著書
- 人力ロボティクスの提案,バイオメカニズム学会誌,2017.
-
論文車輪付形状可変型4節リンク機構を用いた階段昇降機構,日本ロボット学会誌,2011.
-
搭乗者の受動的運動を考慮した人間搭乗型2足歩行ロボットの歩行パターン生成,日本ロボット学会誌,2007.
関口 悠
准教授
モノとモノがくっつく現象/剥がれる現象の理解と応用
モノとモノがくっつく現象/剥がれる現象の理解と応用
接着剤を利用した接合を中心に、モノをくっつけたり剥がしたりする研究をしています。部品を組み立てるときに必ず必要となるのが接合技術です。設計の自由度や構造物の強度も接合部に依存することが多いです。接着剤を用いた接合は、デザイン性や利便性の観点から、すでにさまざまな場所で使用されていますが、接着剤の種類もくっつける対象も多種多様であり、1つ条件が変わるだけでも接合部の力学が変わるので、工学的な観点から研究テーマには事欠きません。瞬間的な強度だけでなく、長期的な利用を考えた耐久性・信頼性など接着接合および表面/界面に関する幅広い研究を扱っています。
- 社会貢献
- 日本接着学会 評議員/関東支部幹事
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学/日本学術振興会特別研究員(DC2)
- 代表論文/著書
-
Yu Sekiguchi, et al., Fatigue & Fracture of Engineering Materials
& Structures 46(2023) 909-923.
-
Asuka Hayashi, Yu Sekiguchi, Chiaki Sato, Journal of Advanced Joining
Processes 5(2022) 100079.
- Yu Sekiguchi, Chiaki Sato, materials, 14(2021) 1723.
個人と組織の動的プロセスに関する理論構築
「個人は、組織とのかかわりのなかで、どうやってヤリタイコトを見つけ、どうやってそれを実現していくのか?」という問いを抱いて研究し、得た知見をイノベーションの促進に役立てようとしています。最近は次の3つの概念に注目しています。「ダイバシティ(多様性)」概念では、民族やジェンダーの多様性だけでなく、知の多様性という観点をとりいれた研究テーマを開拓しています。「ワークスタイル変革」概念では、労働とは異なる「仕事」の定義からワークスタイルを分類し、事例を分析しています。「オープン・イノベーション」概念では、企業の研究開発組織および実践共同体を対象として、外部知識を吸収する能力の測定、および顧客との共同価値創造プロセスの研究に取り組んでいます。
- 社会貢献
- 経営情報学会 会長(2019-2021)
- 国土交通省「知的生産性研究委員会」委員(2007-2013)
- 内閣官房「環境未来都市推進委員会」委員(2013-)
- 学位
- 博士(商学)/一橋大学
- 経歴
- 東京工業大学 工学院経営工学系 教授
- 代表論文/著書
- 「知識経営実践論(共著)」白桃書房. Nov, 2001.
-
「Shaping knowledge management: organization and national
culture」Journal of Knowledge Management. Emerald. 2010.
-
「A Study of Knowledge Management Enablers across Countries」Palgrave
Macmillan. 2015.
高橋 邦夫
教授
物理に基づく凝着/接合プロセス/デバイスのデザイン
物理に基づく凝着/接合プロセス/デバイスのデザイン
主なテーマは「生物を模倣した把持・脱離デバイスの設計」「固体間凝着現象の理解と応用」「接合プロセスの制御と設計」「エネルギーハーベスティング」「微小プラズマ」等.現象のメカニズムを解明し,それを力学等の物理に基づいて最も簡単なモデルで表現し,プロセスやデバイスの設計をしています.凝着現象や接合プロセス等,主に表面や界面に関わる現象をターゲットにしていますが,研究室のポテンシャルを活用して,それ以外に挑戦する学生もいます.
経験や勘ではなく理屈に基づいた設計をしているので,物理と数学を用いますが,枝葉末節ではなく基本的な内容を大切にしています.研究室では論理的な思考と説明能力のスキルを磨くことを心がけてもらっています.
- 社会貢献
- 日本溶接協会 教育委員会委員長(2018~),等.
-
日本高圧力技術協会 編集委員会委員長(2009~),理事(2013頃~),等.
-
高圧ガス保安協会 特定案件・詳細基準事前評価委員会(2013~),等
- 学位
- 博士(工学)/大阪大学
- 経歴
- 東京工業大学 機械知能システム 助手,国際開発工学 准教授,教授
- 代表論文/著書
-
「弾性率変化による可逆接合の可能性-固体間凝着理論の応用-」高橋邦夫他,溶接学会論文集
v26, p292-297, 2008.「A simple formula for surface energy…」
高橋邦夫他,Physical Review B, v48, p5689-5691,1993
武田 行生
教授
機械運動システムの基本性能を決定するメカニズムの最適設計理論を構築し、実証する
機械運動システムの基本性能を決定するメカニズムの最適設計理論を構築し、実証する
ロボットや支援機械などの機械運動システムにおける機械的効率、精度、使い易さなどの基本特性はそのメカニズムの構造と寸法に支配される。当研究室の研究は、機械運動システムにおける運動・力の変換・伝達の本質に着目してその最適設計を可能とする手法を構築することに特徴があります。これにより、パラレルロボットを用いた高精度3次元パイプベンダー、使用者にやさしい関節リハビリ装置等のユニークかつ高性能な機械システムが開発されています。
- 社会貢献
-
日本機械学会 理事(2021-2022),機素潤滑設計部門長(2016-)/Executive
Council of IFToMM(2020-2023), Chairman of Technical Committee for
Robotics and Mechatronics of IFToMM(2017-2019)/Associate Editor,
Mechanism and Machine Theory,
Elsevier(2016-)/再生医療とリハビリテーション研究会 理事(2015-)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- ミュンヘン工科大学/フロリダ大学/文部科学省 学術調査官
- 代表論文/著書
-
Kinematic performance evaluation of high-speed Delta parallel robots
based on motion/force transmission indices, Mechanism and Machine
Theory, Vol. 125 (2018), pp. 111-125.
-
Design of a Novel Mutliple-DOF Extendable Arm With Rigid Components
Inspired by a Deployable Origami Structure, IEEE ROBOTICS AND
AUTOMATION LETTERS, VOL. 5, NO. 2, APRIL 2020, pp. 2730-2737. Digital
Object Identifier 10.1109/LRA.2020.2970976
エコシステムの分析・設計・実装による社会変革
主な研究テーマはエコシステムマネジメント、プラットフォームマネジメントです。エコシステムマネジメントにおいては、生物学におけるエコシステムのコンセプトをマネジメントサイエンスに適用して新たな知見を見出すことに取り組んでいます。エコシステムマネジメントの研究は、顧客に価値をもたらす製品・サービスシステム全体を分析対象とするところに特徴があります。具体的には現在は水素エネルギーを利用したエコシステムの分析、設計、実装に取り組んでおり、トヨタモビリティ基金やJSTなどの支援を受けています。例えばマイクログリッドを用いた新しいエコシステム(ジオフリーエナジー社会と呼んでいます)を設計し、複数の企業や政府・自治体と協力して実装に向けた研究と活動を行なっています。
- 社会貢献
- 日本MOT学会、編集委員長
- 日本MOT学会、理事
- 学位
- 博士(政策・メディア)/慶應義塾大学
- 経歴
- ハンブルク工科大学/スイス連邦工科大学Zurich
- 代表論文/著書
-
Tsujimoto M., Kajikawa Y., Tomita J., Matsumoto Y., A review of the
ecosystem concept—Towards coherent ecosystem design, Technological
Forecasting and Social Change 136, 49-58, 2018,
https://doi.org/10.1016/j.techfore.2017.06.032.
ロボット技術が拓く先端宇宙システム
過酷ですが,広大なフロンティアである宇宙を如何に安全で便利かつ持続的に利用していくか?
この課題に,ロボット技術と衛星技術を融合した新しい宇宙システムの探求により挑んでいます。現在は「展開・伸展機構を利用した宇宙構造物上移動システム」「宇宙機の組立・保守・修理・スペースデブリ除去等を実現するための宇宙機捕獲・サービス技術」等を中心に力学・機構・制御の研究を進めるとともに、超小型衛星開発を通じて、これまで宇宙機技術の実用化に対する大きな壁であった宇宙実証をミニマムシステムで実現するスキームを模索しています。
- 社会貢献
- 日本ロボット学会 事業計画委員 (2015-2016)
- NPO 法人大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)理事 (2017-)
- 学位
- 博士(工学)/東北大学
- 経歴
- 東北大学/宇宙航空研究開発機構/東京工業大学
- 代表論文/著書
-
「Dynamics, Control, and ImpedanceMatching for Robotic Capture of a
Non-cooperative Satellite」Kazuya Yoshida, Hiroki Nakanishi 他, RSJ
Advanced Robotics Vol.18, No.2, 2004.
中丸 麻由子
教授
社会シミュレーションと進化ゲームで社会の原理を解明する
社会シミュレーションと進化ゲームで社会の原理を解明する
人間社会の基盤は「協力」です。しかし協力への「ただ乗り問題」は至る所で生じています。そこで当研究室では、数理モデルやシミュレーションというツールを用いて、(1)どのような仕組みによってただ乗りを回避することが可能なのかを探っています。人々は様々なルールや制度を作って協力を促してきました。古くからある通文化的な慣習や組織に着目して研究をすることで、社会における本質や原理を導き出します。(2)人の協力行動の究極要因も探っています。協力行動は進化的な基盤があります。その背後には道徳や社会規範の存在があり、他の生物には類い希な高度な認知能力、共感能力、言語能力等が関係していると言われています。それらが進化した要因を探るとともに、(1)に生かしていきます。
- 社会貢献
- 日本学術会議連携会員(第24−25期)
-
日本人間行動進化学会 常務理事(2008-2015)および理事(2016-2018)
-
日本数理生物学会 運営委員(2002-2004, 2007-2010, 2013-2016,
2019-2020)
- 学位
- 博士(理学)/九州大学
- 経歴
- 静岡大学/科学技術振興事業団
- 代表論文/著書
-
Nakamaru, M., Matsuda, H. and Iwasa, Y. (1997) The evolution of
cooperation in a lattice-structured population. Journal of Theoretical
Biology 184, 65-81.
-
Nakamaru, M. and Yokoyama, A. (2014) The effect of ostracism and
optional participation on the evolution of cooperation in the
voluntary public goods game. PLoS ONE 9 (9), e108423.
-
中丸麻由子、2011、『進化するシステム』、ミネルヴァ書房、総342ページ
野原 佳代子
教授
科学とアートを「翻訳」でつなぎ 新しいコミュニケーションを創り出す
科学とアートを「翻訳」でつなぎ 新しいコミュニケーションを創り出す
「翻訳」をキーワードに、言語学、記号論、コミュニケーション論を使って学際的な研究を行っています。翻訳とはメディアを換えてコンテンツを表現することにより新しい価値を生み出すこと。科学を感性、ストーリーで表現すれば新しいロジックのアートが生まれる。アート思考を取り入れると、科学もコミュニケーションもきっと次へ行く。野原研では
アーティストやデザイナー、編集者、ジャーナリスト、美大、博物館、企業らと国際的・学際的にコラボし、科学とアート/デザインを結ぶ新しい現場と理論を創出しています。
ロンドン芸術大学セントラル・セントマーティンズ校らと科学技術×アート/デザイン研究サテライトラボSTADHIを運営しています。一緒に考え創りたい人、コンタクトお待ちしています。
- 社会貢献
-
電子情報通信学会 (IEICE) 思考と言語研究会
専門委員、日本言語行動学研究会 (JACSLB) 理事、日本工学教育協会
編集・出版委員、日本通訳翻訳学会 (JAITS) 理事
- 学位
- DPhil(博士号)/オックスフォード大学クイーンズカレッジ
- 経歴
- オックスフォード大学/日本学術振興会/ルーヴェンカトリック大学
- 代表論文/著書
-
『Translating Popular Fiction: Embracing Otherness in Japanese
Translation』野原佳代子. Peter Lang: Oxford. 2018.
-
『ディスカッションから学ぶ翻訳学
トランスレーション・スタディーズ入門』野原佳代子. 三省堂: 東京. 2014.
長谷川 晶一
准教授
バーチャルリアリティ 体験を作り出す技術とデザイン
バーチャルリアリティ 体験を作り出す技術とデザイン
バーチャルリアリティ(VR)、シミュレーション、インタラクションの分野を研究し、人が自然に楽しく創造的に暮らせる情報環境の一助になればと考えています。VRではリアリティに目が向きがちですが、現実の模擬ではなく良い環境=人が自然に馴染み上手く振る舞える環境が大切です。「自然に」は、リアリティを緩めたVR本質的価値の一つだと思います。
これには、人の身体と心、感覚運動系や人の認識や感情、人が暮らす実世界の性質を考えに入れること、その上で技術を駆使して環境を作り上げること必要です。これらを計算機で扱えるようにすること―計算機上に人と実世界のシミュレーションモデルを作ること、力触覚とそれを考慮したインタフェースを作る点に研究室の特徴があります。
- 社会貢献
- 日本バーチャルリアリティ学会理事 (2018-)
- インタラクション2020大会長 (2020)
- バーチャルリアリティ学会プログラム委員長 (2019)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 電気通信大学/東京工業大学
- 代表論文/著書
-
静力学指標の最適化により静止姿勢を身体負荷のより少ない姿勢に改善するバーチャルデッサン人形,
画像電子学会誌, 2018.
-
精緻なフィジカルインタラクションにおいて生物らしさを実現するバーチャルクリーチャの構成法,
日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 2010.
-
力覚インタラクションのための多面体の接触体積に基づく実時間剛体運動シミュレーション,
計測自動制御学会論文集, 2004.
林﨑 規託
教授
加速器と量子ビーム技術により豊かで持続的な社会を創る
加速器と量子ビーム技術により豊かで持続的な社会を創る
量子ビーム(イオンビーム,電子ビーム,X線,中性子線など)は,最先端の素粒子や物質の研究開発だけでなく,がん治療,画像診断,薬剤製造,滅菌,非破壊検査,半導体製造など,医療・産業・エネルギー分野でも幅広く利用されており,私たちの暮らしにおいて必要不可欠な技術です。当研究室では,使い途に応じて量子ビームを作り,必要なエネルギーまで加速する小型加速器をコアテーマとして,3次元のCADとマルチフィジクスシミュレーションを連携駆使したデザイン,高い信頼性のための精密加工技術の探求,ビーム実験による検証について,教員と学生が協力して一貫的に取り組んでおり,大強度ビームを実現するマルチビーム線形加速器,橋梁非破壊検査用の小型加速器中性子源,医療用加速器の開発を進めています。
- 社会貢献
- 産業技術総合研究所 クロスアポイントメントフェロー
- 量子科学技術研究開発機構 上席研究員
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 高エネルギー加速器研究機構/東京工業大学
- 代表論文/著書
-
Noriyosu Hayashizaki, Shota Ikeda, Aki Murata, Development of a
downsized proton accelerator system for compact neutron sources,
Nuclear Inst. and Methods in Physics Research B, 461 (2019) 243-246.
環境と応答する建築・都市のデザイン
「環境と応答する建築・都市はいかにしてつくられるのか?」をテーマに、さまざまな歴史的、地理的な文脈と建築・都市の関係を考察することで、優れた建築環境の実体的な仕組みを明らかにすることを主題とした研究・設計を行っています。例えば中庭や窓といった建物の構成要素は、自然のエネルギーを建築自らのはたらきによって活用するパッシブデザインの要となり、建築と自然を媒介する装置という面白さがあります。これらは建物の内と外をつなぐインターフェースとして、私たちの生活を取り巻く環境が時代や場所によって変化すると共に、実に多様な実践を派生しています。このような建築の実体的な姿や形に内在する原理に着目し、現代の社会にふさわしい環境と共にある建築・都市のあり方を探求しています。
- 社会貢献
-
LCCM住宅研究・開発委員会 LCCM住宅設計部会 部会長補佐(2009-)
-
建築作品:Courtyard House A(2017),
東京工業大学元素戦略研究センター(2015)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- エステック計画研究所、村田靖夫建築研究室
- 代表論文/著書
-
「現代日本のコートハウスにおける中庭まわりの断面構成と冬期の光環境」日本建築学会計画系論文集、2014年6月。「時間を織り込む住宅設計術」彰国社、2016年7月
ヒトの脳・神経と機械をつなぐ神経工学
私たちは、生体の脳や神経の仕組みに着目し、神経細胞レベル(ミクロ)から人体レベル(マクロ)に至るまで、様々なレベルでヒトと機械を接続する「神経インタフェース技術」について基礎研究を進めています。その研究成果を、人工視覚、
視線入力インタフェース、
ブレインコンピュータインタフェース、生体模倣型ロボットビジョンなど、医用生体工学、リハビリテーション工学、バイオミメティックロボットなどの分野へ応用することを目指しています。
- 社会貢献
- 日本生体医工学会, 代議員(2015-現在)
- 日本工学教育協会,編集・出版委員会幹部(2014‐現在)
- 電気学会C部門,役員(2017‐現在)
- 学位
- 博士(工学)/名古屋大学
- 経歴
- 日本学術振興会,理化学研究所,名古屋大学,(株)ニデック,MIT
- 代表論文/著書
-
Personal Identification Number Application Using Adaptive P300
Brain-Computer Interface, 電気学会論文誌電子・情報・システム部門誌, 136,
9, 1277-1282, 2016.
-
Research of the Characteristics of Alzheimer’s Disease Using EEG, IEEJ
Transactions on Electronics, Information and Systems, 130, 10,
1827-1832, 2010.
-
Biohybrid Visual Prosthesis for Restoring Blindness, Int. J. of
Applied Biomedical Engineering, 2, 1, 1-5, 2009.
制御技術のイノベーションで生活を豊かに
主な研究テーマは先端制御理論の構築とその産業応用。制御理論の応用には、システムのモデリング、システム解析、制御系設計、性能検証のそれぞれの段階が重要になります。それぞれの段階で先端の研究開発を行っています。例えば、システムのモデリングでは、物理・化学の法則に基づく第一原理によるシステムモデリングだけではなく、機械学習を応用した外乱などにロバストなモデリング手法を提案しています。また、そのモデルを利用したシステムの状態推定や挙動予測、それらを用いた高速化モデル予測制御の提案を行っています。また、ロボット工学の分野ではリミットサイクル規範の2脚ロボットの高効率走行の実現や人工筋アクチュエータの開発と応用を研究しています。
- 社会貢献
- IFAC AUTOMATICA 共同編集者 (2001-2007)
- 日本ロボット学会 評議員 (2003-2004)
- 計測自動制御学会 SI部門 ソフトマテリアル応用部会主査(2007-2008)
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 豊橋技術科学大学/理化学研究所
- 代表論文/著書
-
「Iterative generation of virtual reference for a
manipulator」山北,古田, Robotica, Vol. 9, pp. 1/80 (1991), 「A Novel
Gait Generation for Biped alking Robots Based on Mechanical Energy
Constraint」, 浅野,山北, IEEE Trans. on Robotics and Automation, Vol.
20, No3. pp.565/573(2004)
山﨑 敬久
准教授
異種材料接合により優れた機械特性を持たせて航空宇宙技術に貢献
異種材料接合により優れた機械特性を持たせて航空宇宙技術に貢献
主な研究テーマは炭素系材料の金属合金への接合です。航空宇宙で使用される材料は使用環境が厳しいことが多いため、優れた材料を組み合わせて、工夫を重ねて
適用しています。アーク、プラズマや光などを用いて異種材料を接合し機械的特性を評価しています。ダイヤモンド表面に金とマンガンを組み合わせて接合して
みたところ強磁性という性質を発現させることができました。接合試験片の調整など地道な作業と綿密なデータ取得が多いですが、接合継ぎ手が過酷な環境で耐
えていることを実感できる研究です。
- 社会貢献
- 日本溶接協会 ろう部会 先端材料接合委員会 主査
- 溶接学会 界面接合研究委員会 副委員長
- 学位
- 博士(工学)/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学/宇宙開発事業団/理化学研究所
- 代表論文/著書
-
山崎敬久,溶融はんだ中へのステンレス鋼の溶解についての話題,ぶれいず,Vol.
46 No. 117 2012,p.16-25.
-
山﨑敬久,赤外線加熱によるダイヤモンドのろう付,ぶれいず,Vol. 51 No.
122 2017 p.37-49.
建築、都市におけるエネルギー有効利用技術の適用
主な研究テーマは「建築物のエネルギー消費」「建築、都市における分散型エネルギーシステムの適用」「都市におけるエネルギー面的利用」「省エネルギー行動」。民生部門における多様な建築物単体や地域を対象として、実態調査や実測に基づいてエネルギー消費特性を明らかにし、太陽光、風力等の再生可能エネルギー、燃料電池をはじめとするコージェネレーション、地域熱供給等のエネルギー面的利用技術の適用評価に関する研究を進めています。一方で、建築物におけるエネルギー消費は人間の意識と行動にも影響を受けるため、住宅、大学、その他用途における人間の省エネルギーや環境配慮手法に対する意識調査、省エネルギー行動の実践によるエネルギー消費の削減効果に関する研究を行っています。
- 社会貢献
- 日本建築学会 都市環境・都市設備運営委員会委員(1990-)
- 日本環境管理学会 学術委員会委員(2000-)
- 全国ビルメンテナンス協会 理事(2016-)
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学
- 代表論文/著書
-
1)電力・給湯需要のばらつきが固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステムの導入効果に与える影響、2015年、2)低負荷型ライフスタイルによる住宅のエネルギー消費量削減の可能性、2009年(日本建築学会環境系論文集)
船越 孝太郎
准教授
対話システムとの協調的なインタラクションをデザインする
対話システムとの協調的なインタラクションをデザインする
我々の研究室では、自然言語処理と非言語情報処理技術を基盤に、マルチモーダル対話システム、言葉によるコミュニケーションを軸としたヒューマンマシンインタラクションに関する研究を幅広く行っています。ここでいうマルチモーダルとは、言葉・音・映像など様々な形で与えられる情報を統合して理解すると同時に、それらを効果的に用いて情報伝達を行うことを指しています。対話システム(又は会話ロボット・エージェント)は人が利用するものである以上、人にとって使いやすく、使うことに喜びを感じられるものでなければいけません。そのためには個々の要素技術の改良だけではなく、人と機械それぞれの特性と違いを踏まえた上で、目的を考えてシステムを設計する必要があり、ユーザとシステムのインタラクションのあり方全体を俯瞰的にデザインすることが重要です。人の協調する能力は生物の中でも特異なものであり,言語対話はその最たる現れです。何でもないことにみえる言葉の交わし合いも、相互の協調なしには成立しません。技術を通じて人と言語の本性を明らかにしたいと思う方や,凄いものよりも喜んでもらえるものを創りたいと思う方を歓迎します。
- 社会貢献
-
人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会 (SIG-SLUD), 幹事
(2015-2019)
- 一般社団法人 言語処理学会, 理事 (2023-2026)/
- 人工知能学会 汎用人工知能研究会, 幹事 (2024-)
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
- ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン,京都大学
- 代表論文/著書
-
Non-humanlike Spoken Dialogue: A Design Perspective, SIGDIAL
Conference, 2010/
WOZ対話におけるオペレータの操作戦術の分析に基づく協調的対話システムデザイン,
SIG-SLUD, 2019
居住文化と環境を理解しデザインする
社会や文化のなかでの建築について、建築や都市がどのような理念や手法によってつくられてきたのかを分析するとともに、さまざまな空間創造のあり方や方法について調査・分析することで、現代において地域ごとに異なる状況のなかで発展していく建築・都市空間のあり方や今後のデザインについて考察しています。具体的にはくらしの様々な場面を対象として、フィールドワークを通した観察、インタビューにより生活の現場に顕在・潜在する課題を理解することで、現状の人々の暮らしの方法論を明らかにするとともに(エスノメソドロジー)、未来に求められるデザインについて探求しています。重点テーマとして、建築と人間の暮らしの関係を次の3つで進めます。
1.日本古来のしつらいの視点を用い、居住文化と環境を人間の活動・環境・資源・それらの時間継続の視点で捉え、人間環境の持続可能性やデザインの可能性を探求します。
2.居場所を見出す「座る学」として、人が一定時間・場所にとどまる「座る」行為に注目し、それを生む過程や環境のあり方を明らかにします。
3.多方面で探求されているWell-beingの尺度とそのための環境の関係性を取り込んだデザイン実践に取り組みます。
- 社会貢献
- 日本建築学会建築計画本委員会幹事
- 日本建築学会Evidence Based Design小委員会幹事
- 清家清「私の家」友の会
- 学位
- 工学博士/東京工業大学
- 経歴
- 東京工業大学/札幌市立高等専門/札幌市立大学
- 代表論文/著書
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建築フィールドワークの系譜,2018,昭和堂 /
人体系家具の大きさと行動場面からみた身体尺度
ベトナム・ホーチミン市ビンタン地区ティゲー市場とその周辺を対象として,
日本建築学会, 20022